中庭に重く鈴なりのれもんとともに、私がいるテラスばかりでなく周囲の家はすべて、太陽の下では目が痛いほどに真っ白い漆喰で出来た壁は、北斗七星に縁取られた屋根の延長線上からもうすぐ降りてきて視界に入ってくる満月にぼんやりと光って照らされ、雲がひとつなく穏やかで、たまに遠くの遠くで犬が吼えている他はちょっとした身動きで鳴る椅子のきしみすらわずらわしいほどに、荘重に確実な月の進む音が聴こえるように思うほどにあたりは静かで、こんな明るい夜は気が触れると言われてきたけどそれもありえそうなほどに、視覚以外の感覚器を増幅させて体全体であたりの気配を感じ取って、もしかしたら眠るいきものたちの音無き夢に満ちているのかもしれない、などとぼんやりしつつ、こんな満ち足りたような、けれど少しメランコリックな夜は長くなかったと思うにいたる。
2010-05-29
29th May 2010 - Moura / 月がとっても・・・
中庭に重く鈴なりのれもんとともに、私がいるテラスばかりでなく周囲の家はすべて、太陽の下では目が痛いほどに真っ白い漆喰で出来た壁は、北斗七星に縁取られた屋根の延長線上からもうすぐ降りてきて視界に入ってくる満月にぼんやりと光って照らされ、雲がひとつなく穏やかで、たまに遠くの遠くで犬が吼えている他はちょっとした身動きで鳴る椅子のきしみすらわずらわしいほどに、荘重に確実な月の進む音が聴こえるように思うほどにあたりは静かで、こんな明るい夜は気が触れると言われてきたけどそれもありえそうなほどに、視覚以外の感覚器を増幅させて体全体であたりの気配を感じ取って、もしかしたら眠るいきものたちの音無き夢に満ちているのかもしれない、などとぼんやりしつつ、こんな満ち足りたような、けれど少しメランコリックな夜は長くなかったと思うにいたる。
